野球肩、野球肘障害と肩甲骨位置異常(機能障害)との関係

野球肩、野球肘障害と肩甲骨位置異常との関係

肩甲骨の動きが投球動作に果たす役割は非常に重要です。野球肩・野球肘障害を理解するには、腕と肩甲骨の動きの関係(肩甲上腕リズム)を理解することが大切です。

投球動作のコッキング期後半から加速期(写真)にかけて、腕の角度は約90度の高さに位置しています。この腕の角度は、肩関節だけが動いて90度の角度を作っているのではなく、腕の動き(60度)と肩甲骨の動き(30度)が連動することによって、実際の投球動作の腕の高さ(90度)を作り出しています。

 

 

 

 

 

 

肩甲骨に付いている筋肉に筋力低下や筋のバランス異常が生じると、腕を挙げていく際に腕と肩甲骨の動きが悪くなり、腕の挙がり具合が悪く、肘が下がった投球フォームになります。

その結果、肩関節ではインナーマッスルと言われている腱板筋群に、肘関節では投球動作中肘の内側の安定性を担っている靭帯や筋肉に大きなストレスが加わることになり野球肩、野球肘を発生します。

 

右肩甲骨機能不全、腱板炎

ポジション:ショート
発生状況:2か月ぐらい前から徐々に肩の後方から肩甲骨の内側の筋肉が張る感じがあり投球継続。最初は肩が温まれば肩痛は消失して徐々に痛みが強くなり投球不能になり、スポーツドクター受診。
投球フォームチェック:下半身をほとんど使えていない、腕の力に頼りすぎた投球フォームのため、腕を体の後方へ引きすぎ、加速期からボールリリースにかけて肘が下がり、体に対して腕が遅れ気味に出てくる投球フォーム

 

右肘内側側副靭帯損傷

ポジション:投手(大学生)
発生状況:以前から投球練習後、肩甲骨周辺が疲れる感じがしていた。当院受診1週間位前から肘の内側に違和感を感じていたが投球継続。昨日投球練習中に肘の内側に痛みが走り当院受診。スポーツドクターに診察を依頼。
投球フォームチェック:受傷直後で痛みが強いため、投球フォームチェックは行っていない
既往歴:小学生の時に内側型野球肘の経験あり

 

野球肩・野球肘障害と姿勢との関係

野球肩、野球肘で治療院に来院する選手の姿勢を観察すると、頭部が前方に傾き、背中が丸く肩が前に出ている姿勢(写真左)を呈している選手に遭遇することがよくあります。このような姿勢では、肩甲骨が前方へ傾き外側に開いた状態となり、それに伴って上腕骨(肩の骨)が前方に出てきやすい位置となります。
この姿勢では、先ほども説明しましたが肩甲骨の動きが悪くなり、腱板筋の筋力発揮も低下し、投球動作中に上腕骨と肩甲骨が肩関節の前上方で衝突する野球肩(インピンジメント)や肘の下がったフォームになりやすく野球肘の原因になります。
投球障害を予防するためには正しい姿勢(写真右)も大切です。

 

      

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