野球の怪我
Dr.Andrews からのメッセージ:野球の怪我と予防
この記事は、私がアメリカ留学した時に大変お世話になったアメリカスポーツ医学界の権威ドクターAndrewsの施設(Andrews Sports Medicine & Orthopaedic Center)から発信された記事を翻訳してみました。先生は、多くのMLB(メジャーリーグ)選手や、藤川球児(元シカゴカブス)、田澤純一(マイアミマリーンズ)、ダルビッシュ有(シカゴカブス)ら日本人MLB選手の肩・肘関節の手術を執刀もされています。
野球の怪我
青少年アスリートの怪我が増加していますが、子供の肘や肩の障害は流行に瀕している。毎年数千人の子供が肘や肩の痛みを訴えています。肘の内側側副靭帯のダメージや断裂は最も悩まされる怪我で、しばしばその原因は投球過多によるものです。この靭帯は投球動作において肘の主な安定装置となっています。ひとたびこの靭帯がダメージを受けると、修復やリハビリが困難な場合があります。
どのように肘や肩の診断をしているのか?
もし若いアスリートが、全力での投球過多や投球までの間隔日数が早すぎる、休養を取らないと深刻な肘または肩の怪我は横ばい状態になるだろう。アスリートが肘または肩の痛みを投球翌日訴えた場合、または関節を動かすと痛い、反対側に比べて動きが制限されている場合は、直ちに青少年のスポーツ障害に精通した医師に相談して下さい。
どのようにしてオーバーユースによる野球障害を予防するのか?
オーバーユースによる怪我、特に内側側副靭帯と肩に関連する怪我は予防できます。あなたの生活も含めてゲームの中にいくつかのヒントがあり、それは以下の通り
➣ストレッチやランニングなど適切なウォームアップの実施、緩やかな投球から段階的に投球強度を上げていく
➣ピッチャー以外の他のポジションに回わる
➣年齢に適した投球を心がける
➣リトル・リーグ・ベースボール(下の文を参照)によって確立されたピッチ・カウント・ガイドラインに従う
➣シーズンが重なる複数チームでの投球を避ける
➣肘や肩の痛みを感じたら投球禁止。痛みが持続する場合はドクターに診せる
➣連投はしない
➣1年中プレーはしない
➣レーダーガン(スピードガン)を使用しない
➣腕の感じ、痛みがあるかどうかについて定期的にコミュニケーションをとる
➣年齢に応じた発達スキルを身につける
➣コントロール、正確さ、正しい投球メカニズムを重要視する
➣最初にストレートボールをマスターし、カーブボールを覚える前に2番目にチェンジアップをマスターする
➣もし怪我や予防の仕方が分からない場合は、スポーツ専門医かアスレティックトレーナーと話し合う
最大投球数
年齢 ピッチング/ゲーム
7-8歳 50球
9-10歳 75球
11-12歳 85球
13-16歳 95球
17-18歳 105球
必要な休息期間
14歳未満 15〜18歳未満 ノースロー
66球 + 76球 + 4日
51-65球 61-75球 3日
36-50球 46-60球 3日
21-35球 31-45球 1日
1-20球 1-30球 なし
各球種を習得する推奨年齢
球種 年齢
ファストボール 8 +/-2
チェンジアップ 10 +/-3
カーブボール 14 +/-2
ナックルボール 15 +/-3
スライダ 16 +/-2
フォークボール 16 +/-2
スクリューボール 17 +/-2
オーバーユースによる肘や肩の怪我はどのように治療するのか?
オーバーユースの明白な治療は休息です、特に怪我を引き起こした活動の休息。冷却は痛みや炎症を軽減するためにも使用されます。イブプロフェン(非ステロイド系消炎鎮痛剤)はどんな痛みにも役立ちます。症状が持続する場合は、医師に連絡することが非常に重要です。特に関節がしっかりと動かない場合は連絡すべきです。そして診察とレントゲン写真を撮る必要があります。 MRIも役に立ちます。
通常は単純に「安静治療」では十分ではありません。なぜならば、症状が治まっても、筋肉の太さや正常な筋緊張、柔軟性、および持久力の低下が起きるからです。痛みがなくなり動きが完全になればスローイング・リハプログラム(段階的なスローイング・プログラム)を開始していきます。
状況によっては、問題を解決するために手術が必要な場合があります。オーバーユースや投球ストレス関連の問題は、軟部組織(筋肉、腱、および靭帯)だけでなく、骨の成長部分に影響を及すことがあります。この症状が治療されないと、四肢(手や足)の変形や永続的な障害の原因になります。このような場合、アスリートはヘルスケアの専門家(スポーツドクター)に問題を取り除いてもらった後に、プレーに戻るべきです。
James R. Andrews、MD